「古家付き土地のトラブルって、実際どんなことがあるの?」
この記事では、購入・売却時に起こりがちな古家付き土地の注意点や代表的なトラブルを具体的に解説しながら、後悔しないためのチェックポイントをお伝えします。
初めての方でもわかりやすいよう、言葉をやさしくかみ砕いて紹介していますので、「不動産って難しそう…」と感じていた方もご安心ください。
読み終える頃には、売る側・買う側どちらでも自信を持って判断できる知識が身につくはずです。
古家付き土地とは?基本とよくある誤解
「古家付き土地」と聞いて、どんなイメージを持たれるでしょうか?
「古い家が残っている土地」…そのくらいの認識の方も多いかもしれません。
ですが、この言葉には売買やトラブルの面で重要なポイントが隠れています。
この章では古家付き土地の正しい意味や、よくある誤解について、わかりやすく解説していきます。
古家付き土地の定義と特徴
まず、古家付き土地とは、「老朽化して使われていない、または価値がほとんどない建物が建っている土地」を指します。
つまり、土地としての利用が主な目的であり、建物そのものには資産価値がほとんどないというのが前提です。
不動産広告や売買契約でも「建物の評価はゼロ」として扱われることが多く、あくまで土地が主役となる物件です。
このような物件が市場に出される理由としては、
- 解体する手間や費用を省きたい
- 固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)を維持したい
といった売主側の事情が関係しています。
ただし、建物があることで利用方法の自由度が制限されたり、解体費やトラブルのリスクが潜んでいるケースも少なくありません。
「古家付き=土地だけの価格」は本当?
「古家付きだから、建物はタダ。土地代だけで済むんでしょ?」
…こんな声を聞くことがありますが、これは大きな誤解です。
たしかに不動産広告では「建物はおまけ」とされていることも多いですが、
建物の解体費用や、インフラ整備の必要性など、実際には購入後にコストがかかるケースがよくあります。
たとえば、木造2階建ての家屋であれば、解体費だけで100万円〜200万円かかることも珍しくありません。
さらに、解体後に再建築ができるかどうかも確認が必要です。
また、古家の状態によっては、契約不適合責任を売主が問われる可能性もあるため、契約内容には注意が必要です。
つまり、「建物があるからお得!」と安易に判断してしまうと、後から思わぬ出費やトラブルにつながるリスクがあるのです。
建物が無料でも、リスクは無料ではありません。
価格の安さだけに惹かれず、全体の費用や条件を総合的に判断することが大切です。
古家付き土地で起きやすい代表的なトラブル
古家付き土地は価格が安めに見えることもあり、掘り出し物のように感じるかもしれません。
しかし、購入や売却のあとで「こんなはずじゃなかった…」と後悔する人が多いのも事実です。
ここでは古家付き土地で実際に起こりやすい5つのトラブルについて、具体的なケースとあわせて解説していきます。
トラブル①:再建築不可のリスク
もっとも大きな落とし穴といえるのが、再建築ができない土地を知らずに購入してしまうケースです。
外観はふつうの家でも、建て替えようとしたらできないという事態は意外と多く、深刻なトラブルに発展します。
接道義務とは?建て替えできないケースとは
建物を建てるためには、法律で定められた「道路」に、土地が2メートル以上接している必要があります。
これを「接道義務」と呼び、都市計画区域内では必須の条件です。
古家が建っていたとしても、その当時の基準ではOKだっただけで、
現在の法律では再建築不可ということもあるのです。
「前に建ってたんだから大丈夫でしょ」は通用しません。
都市計画区域や法令の確認ポイント
接道義務の確認に加え、都市計画区域内かどうかも重要です。
建築制限があるエリアでは、再建築や増改築に用途地域や建ぺい率などの制限がかかります。
購入前・売却前には、市区町村の建築課や法務局で確認しておきましょう。
トラブル②:境界未確定・測量未実施
意外と多いのが「境界がはっきりしていない土地」です。
見た目ではわかりにくくても、後々になって隣地との揉めごとにつながることもあります。
隣地との境界トラブルとその解決策
境界があいまいなまま売買すると、
「ここの塀はうちの土地じゃないか?」など、所有権をめぐるトラブルが発生しやすくなります。
解決策としては、境界立会いを行い、隣地所有者と共に確認・同意を取る方法があります。
確定測量・筆界確認書の重要性
確実なのは確定測量を実施し、「筆界確認書」などを交付してもらうことです。
これにより法的にも明確な境界が確保され、将来的なトラブルを避けやすくなります。
トラブル③:上下水道・ガスなどインフラ未整備
古家があるのに「水道が引き込まれていない」「ガスが使えない」なんて、信じられない話ですが実在します。
特に古い住宅では、インフラ整備が追いついていないケースが珍しくありません。
引き込み状況の確認と費用負担
売買契約前に、上下水道・ガス・電気の引き込み状況を確認しましょう。
未接続の場合、買主負担で数十万円〜百万円単位の整備費がかかることも。
ライフラインの整備にかかる費用と期間
インフラ整備は行政の許可や工事が必要になるため、
工期も数週間〜数ヶ月に及ぶ場合があります。
即入居や即利用を考えている方は、必ず事前確認が必要です。
トラブル④:建物に重大な欠陥(瑕疵)がある
古家の中には、見た目以上に老朽化が進んでいるものもあります。
雨漏りや構造の腐食など、住むには危険な状態も少なくありません。
雨漏り・シロアリ・基礎不良などのリスク
木造住宅では特に、雨漏り・シロアリ被害・基礎のヒビなどが見えにくいリスクとして挙げられます。
見た目がキレイでも、内部がボロボロという例もあります。
契約不適合責任の範囲と対応方法
売主が建物付きで売る場合、契約不適合責任を負うことになります。
雨漏りやシロアリ被害などが引き渡し後に発覚すると、損害賠償や契約解除になることもあります。
責任範囲を限定した契約や、インスペクション(建物診断)の実施が有効です。
トラブル⑤:解体費用をめぐるトラブル
古家付き土地では、「解体はどちらがやるのか?」が明確でないまま話が進むとトラブルの元になります。
特に価格交渉時には、解体費をどちらが負担するのかをはっきりさせておくことが重要です。
誰が解体費を負担するかで揉めるパターン
「売主が更地にすると思っていた」
「買主がそのまま引き取ると聞いていた」
など、意思のすれ違いが金銭トラブルを引き起こします。
事前に取り決めておくべき契約内容
契約時には「現況有姿」「更地渡し」など、引渡し条件を明確に記載しておきましょう。
さらに、解体費の負担者や日程、業者の指定なども取り決めておくと安心です。
売却側が気をつけたい古家付き土地の注意点
古家付き土地を売却する際には、ただ物件を手放すだけでは済まない注意点がいくつかあります。
買主とのトラブルを避け、スムーズな売却を実現するには、売主としての責任や判断基準をきちんと理解しておくことが大切です。
この章では、売却前に知っておきたい重要ポイントを順を追ってご紹介していきます。
更地にして売る?古家付きで売る?判断基準
古家付き土地を売る際には、更地にして売るか、古家付きのまま売るかという2つの選択肢があります。
どちらが正解ということはなく、物件の状態や地域、ターゲット層によって判断が分かれます。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを具体的に見ていきましょう。
更地のメリット・デメリット
更地にして売る場合のメリットは、まず見た目の印象が良くなるという点です。
買主が「どんな家が建てられるか」を想像しやすくなり、購買意欲を引き出しやすくなります。
また、再建築の可否や土地の活用プランも伝えやすくなるため、結果として高値で売れる可能性も出てきます。
一方で、解体費用が発生するのが大きなデメリットです。
木造の家でも50万円〜150万円程度は見込んでおく必要があります。
また、建物を取り壊すと固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が解除され、税負担が一時的に増える点にも注意が必要です。
古家付きのまま売るメリット・デメリット
古家付きのまま売る最大のメリットは、売主にかかる手間と費用が少ないことです。
解体や整地の必要がないため、コストを抑えてスピーディーに売却できます。
また、住宅用地の軽減特例も引き続き適用されるため、税金面でも有利になります。
ただし、買主にとっては解体費やインフラ整備の手間が発生するため、購入検討時のハードルはやや高くなります。
その結果、売却価格が下がるケースもある点は理解しておくべきです。
売主の契約不適合責任とは?
古家付き土地を売却する際にもうひとつ気をつけたいのが、「契約不適合責任」です。
これは、売却後に買主が発見した建物や土地の不具合(瑕疵)に対して、売主が責任を問われるルールです。
たとえば、売却後に「シロアリ被害が見つかった」「雨漏りが発覚した」といった場合、
買主から修繕費用の請求や契約解除の申し出があることも。
こうしたトラブルを防ぐには、
- 「現況有姿(ありのままの状態)」で売ることを契約書に明記する
- 建物についてはインスペクション(建物診断)を実施しておく
といった工夫が有効です。
トラブル回避のための事前準備
売却前には、事前にリスクを洗い出すことが重要です。
トラブルを未然に防ぐには、次のような準備をおすすめします。
- 建物の状態チェック(シロアリ、雨漏り、腐食など)
- インフラ状況の確認(上下水道、ガス、電気)
- 隣地との境界確認・確定測量の実施
- 建築基準法や再建築の可否の調査
また、地元に強い不動産会社に相談することで、物件の魅力を活かした売却戦略も立てやすくなります。
手間はかかりますが、安心・安全な売却のためには欠かせない準備といえるでしょう。
購入側が確認すべきポイントと交渉術
古家付き土地を購入する際には、見た目や価格だけで判断してしまうと後悔することがあります。
特に古家付き物件には、後から気づく「落とし穴」が多く潜んでいます。
この章では購入前に必ずチェックしておきたい5つの項目と、価格交渉のコツについて、わかりやすくご紹介します。
購入前にチェックすべき5つの項目
古家付き土地の購入は、通常の住宅や更地の購入とは違った視点が必要です。
あとで大きな出費やトラブルにならないように、以下の5つは必ず確認しておきましょう。
① 接道と再建築の可否
まず確認すべきは、その土地が再建築できるかどうかです。
建築基準法では、幅4m以上の道路に2m以上接していなければ、新たに建物を建てることができません。
これは「接道義務」と呼ばれ、満たしていない場合は再建築不可となります。
現在、建物が建っているからといって将来も自由に建て替えられるとは限らないため、購入前に役所や不動産会社へ確認しましょう。
② 境界と測量
境界が不明確な土地は、後々トラブルの元になります。
「塀の位置=境界」と思い込まず、確定測量済みであるか、境界標(杭)が設置されているかを必ず確認してください。
特に隣地とのトラブルを避けるためにも、筆界確認書の有無をチェックしておくと安心です。
③ インフラ整備状況
意外と見落としがちなのが上下水道・ガス・電気などのライフラインです。
「使えるだろう」と思っていたら、未接続で追加費用が数十万円以上というケースもあります。
水道メーターや排水桝の有無、ガス管の種類(都市ガス or プロパン)なども、しっかりチェックしましょう。
④ 建物の劣化状態
建物が「使える状態かどうか」は、実際に中を見てみないと判断できません。
特に古家は、雨漏り・シロアリ・基礎の劣化など、見えないダメージが潜んでいることもあります。
必要に応じて建物インスペクション(住宅診断)を依頼し、事前にリスクを把握しておきましょう。
⑤ 契約条件(責任範囲・解体負担など)
契約内容は「現況有姿(ありのまま)での引き渡し」なのか、「更地渡し」なのかによって、大きく異なります。
特に、誰が解体費用を負担するかは必ず明確にしておく必要があります。
また、契約不適合責任(以前の瑕疵担保責任)について、売主が責任を負う範囲も契約書で確認しておきましょう。
古家付き土地の価格交渉のポイント
古家付き土地は、更地と比べて価格交渉の余地が大きいのが特徴です。
以下のような点を根拠にすることで、交渉を有利に進められる可能性があります。
- 建物の老朽化が進んでいる場合 → 解体費用を見積もって提示する
- 再建築不可の土地 → 市場価値が大きく下がることを指摘
- インフラ未整備 → 整備費用の負担を理由に価格調整を相談
また、「すぐに現金で買える」「引渡し条件に柔軟に対応できる」などの購入姿勢を見せることで、
売主にとって魅力的な買主と認識され、価格交渉が通りやすくなることもあります。
交渉は“駆け引き”ではなく、“根拠と誠意”がポイントです。
その土地の将来価値や活用方法をしっかり見極めたうえで、納得のいく価格を目指しましょう。
古家付き土地の売却・購入を安全に進めるには?
古家付き土地は、見た目や価格だけでは判断できないリスクや特有の事情が多くあります。
売主と買主のどちらにも、「知らなかったでは済まされない」ような重要な確認事項があるからこそ、慎重に進めることが大切です。
この章では、トラブルを防ぎ、安全かつスムーズに取引を成功させるためのポイントをご紹介します。
経験豊富な不動産会社に相談する重要性
古家付き土地の売買を成功させるには、まずパートナー選びが肝心です。
特にこのような物件は、「売ればいい」「買えばいい」だけで終わらない複雑さがあるため、知識と経験が豊富な不動産会社に相談することが大切です。
たとえば、以下のようなケースにも対応できる不動産会社が望ましいです:
- 再建築不可物件の取扱い実績がある
- 境界トラブルや測量の手配ができる
- 建物のインスペクションに関する知識を持つ
- 買取業者との連携でスピーディーな対応が可能
「相談しやすい・話をよく聞いてくれる」ことも、実はとても重要なポイントです。
特に不動産の知識が少ない方は、専門用語をかみ砕いて説明してくれる担当者がいる会社を選ぶと安心ですよ。
トラブルを避ける契約書の作り方
古家付き土地の売買契約では、書面による明確な取り決めがトラブルを防ぐカギになります。
特に売主・買主どちらの立場でも、次のようなポイントを契約書に明記することが重要です。
- 現況有姿 or 更地渡し(どの状態で引き渡すか)
- 解体費用の負担者(売主負担?買主負担?)
- 契約不適合責任の有無(建物の不具合への責任範囲)
- インフラ設備の現況(上下水道・ガスなど)
- 引渡し日と条件(残置物の有無など)
とくに「契約不適合責任」については、古家の状態によっては後々大きな損害賠償に発展するリスクもあるため、注意が必要です。
必要に応じて、司法書士や行政書士などの専門家にもチェックしてもらうと安心ですね。
「言った・言わない」の口約束ではなく、すべては書面が命。
万が一に備えた契約書づくりで、安全な不動産取引を実現しましょう。
まとめ|古家付き土地のトラブルを防ぐには「調査と確認」がすべて
ここまでご紹介してきたように、古家付き土地には多くのトラブルリスクが潜んでいます。
売主にとっても買主にとっても、価格の安さや表面上の条件だけで判断するのは非常に危険です。
再建築の可否、インフラ整備、境界線、建物の状態など、
あらゆる点において「調査」と「確認」を怠らないことが、トラブルを未然に防ぐ最大のポイントです。
また、契約時には責任範囲や引渡し条件を明確にすることで、後の揉めごとを防ぐことができます。
わからないことや不安な点は、信頼できる不動産会社や専門家に相談しながら進めましょう。
売却にしても購入にしても、古家付き土地はしっかり準備すればチャンスのある物件です。
焦らず、ひとつずつ確認を重ねることで、安心・納得の取引がきっと実現しますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
もし気になる古家付き土地がある方は、まずは無料相談から始めてみてはいかがでしょうか?
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