空き家を見るたびに、「そろそろ何とかしなきゃ…」と胸がざわついていませんか?
売れないまま時間だけが過ぎ、固定資産税や管理の負担は増える一方――。
でも、大丈夫です。
この記事では、“空き家が売れない本当の理由”をひとつずつほどきながら、放置で悪化するリスク、そして今すぐ取れる最適な手放し方まで、迷わず進めるように丁寧に整理しました。
読み終える頃には、「何をどうすればいいか」がはっきりと見えて、肩の重さがふっと軽くなるはずです。
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【執筆・監修】 |
「ミユキプロテック」の記事は、代表の 西村(宅地建物取引士・空き家相談士・情報漏洩管理士) が執筆・監修。不動産業界で培った33年超の経験をもとに、売却が難しい不動産のリアルな解決策を発信。現場で培った知識と実例を、読者目線でわかりやすく解説。会社ホームページはこちら
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空き家が売れない理由をまず整理する

「空き家を売りたいのに売れない」「そろそろ手放したいけれど動けない」。
そんなお悩みは、多くの場合、たった一つの原因ではなく、いくつかの条件が重なって起きています。
まずはご自身の空き家がどんなタイプなのかを整理して、「どこに問題があるのか」「どこから解決すべきか」を一緒に見ていきましょう。
立地・需要の問題
最初に確認したいのは、その空き家がある場所にそもそも住みたい人がどれくらいいるのかという点です。
人口減少が進む地域では、空き家の数に対して買い手が少なく、「売り出しても問い合わせがほとんどない」という状況になりがちです。
このようなケースでは、価格を下げるだけでは解決しにくく、のちほど出てくる空き家買取という選択肢も視野に入れて考える必要が出てきます。
エリアの人口減少と需要の少なさ
地方や山間部、いわゆる限界集落では、若い世代が都市部へ出ていき、家を買おうとする人自体が少なくなっています。
その結果、同じ「空き家 売却」でも、都市部に比べて売れるまでの時間が長くなりやすいのが現実です。
「売れない空き家だから自分のせいだ」と考える方もいますが、実際にはエリア需要の問題で苦戦しているだけというケースも少なくありません。
生活インフラ・アクセスの条件
駅やバス停から遠い、買い物や病院が近くにない、道路が狭くて車の出入りがしづらい。
こうした条件が重なると、同じ金額なら「もう少し便利な場所を選びたい」と考える人が多くなり、その物件は後回しにされがちです。
このように立地と生活インフラの不便さが合わさると、空き家が売れない原因として大きく効いてきます。
老朽化・建物の傷み
次に見ておきたいのが、建物の状態です。
長いあいだ人が住んでいない空き家は、見た目以上に傷みが進みやすく、内覧に来た人の第一印象にも大きく影響します。
買主は「購入後にどれくらいお金がかかりそうか」を冷静に見ているので、状態次第ではその場で候補から外れてしまうこともあります。
内装の傷みと第一印象
玄関を開けたときのカビ臭さや湿気、壁や天井のシミ、畳やフローリングの傷みなどは、買主にとって非常に分かりやすいマイナスポイントです。
「少し直せば住めそうな空き家」なのか、「フルリフォーム前提の空き家」なのかで、頭の中の計算は大きく変わります。
後者と判断されると、「この金額なら別の物件を探そう」と考えられてしまい、結果的に空き家 売却が進まない原因になります。
見えない部分の劣化と修繕費への不安
床下のシロアリ被害や配管の腐食、基礎のひび割れなど、ぱっと見では分からない部分の劣化も侮れません。
買主は、「見えないところで大きなお金がかかるのでは」と感じると、一気に慎重になり、購入自体をやめてしまうことがあります。
このような老朽化が進んだ空き家は、仲介での売却よりも現状のまま買取してもらうほうが現実的なケースも多いです。
法的制限・権利トラブル
三つめのポイントは、法律や権利関係の問題です。
建物や土地そのものが悪くなくても、法的な条件を満たしていないと、買主がローンを組めなかったり、契約そのものが難しくなったりします。
「空き家 手放したい」と思っていても、この部分が整理できていないために、いつまでも空き家が売れない状態にとどまってしまうこともあります。
再建築不可・接道条件のハードル
建築基準法上の道路に一定以上接していない土地は、新しい家を建て替えられない「再建築不可」の可能性があります。
このような土地に建つ空き家は、住宅ローンが使えないことが多く、その時点で買主候補の大半が対象外になってしまいます。
「昔から普通に建っている家だから大丈夫」と思い込んでいると、実は接道義務を満たしておらず、空き家 売却が思うように進まない原因になっている場合もあります。
相続・共有名義・境界の整理不足
名義が亡くなった親御さんのまま、相続登記が済んでいない、兄弟姉妹との共有名義のまま話し合いが止まっている。
こうした状態では、買主から見て「誰と契約すればよいのか」が分かりにくく、トラブルを避けるために購入を控えられてしまいます。
さらに境界があいまいな土地は、隣地とのトラブルリスクもあるため、権利関係を整理しておくことが空き家 買取や売却のスタートラインになります。
“売れない空き家”に共通する典型パターン

空き家が売れない物件には、いくつかの共通点があります。
まずはご自身の状況が、どのパターンに当てはまるのかを確認しましょう。
原因を整理すると、あとで売却方法の判断がしやすくなります。
売れ残りパターン①:立地のミスマッチ
地域の需要と物件の条件が合っていないケースです。
周辺の売れ残り物件が多いと、価格を下げても動きにくい状況になります。
まずは立地のハンデがあるかどうかを確認しましょう。
- 周辺に売れ残り物件が多く、長期間動いていない
- 駅やバス停が遠く、高齢者には負担が大きい
- 生活インフラが弱く、将来の暮らしが見えにくい
売れ残りパターン②:建物の状態がネックになっている
建物の劣化が、買主へ強い不安を与えるケースです。
外観だけでなく、内部や構造の損傷も判断に大きく影響します。
状態が悪いと、買主は予想外の出費を心配します。
- 内見時にカビ臭さや湿気が強く感じられる
- 雨漏り跡やシミ、床の沈み込みが多い
- 長期間未使用で設備の動作が不安定
売れ残りパターン③:権利関係・書類の問題が残っている
法律や権利の問題が整理されていないと、買主は契約リスクを感じます。
権利の曖昧さは、売却が進まない大きな原因になります。
書類が揃っているかを、早めに確認しておくのが安心です。
- 相続人が多く、代表者が明確でない
- 境界が曖昧で測量が必要になりそう
- 越境や通行権など説明点が多い
売却前に必ず確認すべき“現状整理”のポイント

原因を整理できたら、次は売却の準備ができているかを確認します。
ここで紹介する項目は、どの方法で手放す場合でも必要になる共通の基礎条件です。
売却の流れを止めないためにも、早めのチェックが安心につながります。
名義(相続登記)は整理されているか
名義が親のままだと、売買契約が結べません。
まずは登記簿を確認し、誰が所有者として登録されているかを把握しましょう。
相続登記が済んでいるかは、売却の最初の確認ポイントです。
共有名義の場合、関係者と連絡が取れるか
共有名義では、売却に全員の同意が必要です。
一人でも連絡が取れないと、売却は進みません。
特に反対者がいる場合は長期化しやすいため、早めの連絡調整が重要です。
境界・面積は把握できているか
境界が曖昧だと、買主は将来のトラブルを強く心配します。
古い図面しかない、境界杭が見当たらない場合は、現状を整理しておくと安心です。
まずは「分かっていること」と「不明点」を書き出すことが大切です。
建物の状態・問題点を把握できているか
雨漏りやシロアリ、設備の不具合など、分かる範囲で現状把握をしておきましょう。
見つけた問題は、小さなことでもメモしておくと相談がスムーズです。
すべてを完璧に調べる必要はなく、気づいた点を整理するだけで十分です。
固定資産税・維持費の負担状況
固定資産税や草刈り費用を把握しておくと、今後の判断に役立ちます。
持ち続けた場合の負担が数字で見えるため、売却か保持かの判断がしやすくなります。
現在の支出を整理するだけで、次のステップが明確になります。
市場価値(相場感)は把握できているか
空き家を売る前に大切なのは、今の価格帯を知ることです。
自分の物件が相場より高すぎると、どれだけ広告を出しても売れにくくなります。
反対に、相場とズレを知れば、最短で手放す判断がしやすくなります。
近隣の成約価格と比較してみる
まず確認したいのは、周辺で過去に売れた物件の価格です。
近い条件の家がどれくらいの価格で成約したかを知ると、適切な目線がつかめます。
相場から大きく外れている場合は、売れない理由が価格設定にある可能性が高いです。
査定額の“幅”にも注目する
不動産会社の査定額は、会社ごとに違いが出ることがあります。
複数の査定額を比べると、現実的な市場の価格帯が見えてきます。
特に差が大きい場合は、建物の状態や立地評価に違いがあるため、理由を聞くことが大切です。
仲介と買取では価格の基準が違う
仲介は市場に出すため、高めの価格で出すことが多いです。
一方で買取は業者が買うため価格は少し下がる傾向があります。
ただ、売れるまでの期間や手間を減らしたい方には、買取の方が現実的な場合もあります。
空き家を放置すると“売れない”状態が深刻化する理由

「そのうち何とかしよう」と先延ばしにしている間にも、空き家は確実に状態が悪くなります。
ここでは、放置を続けることでどんなリスクが高まるのかを整理します。
「特定空家」による税負担の増加リスク
適切に管理されていない空き家は、自治体から特定空家に指定されることがあります。
指定されると、住宅用地の軽減措置が外れ、固定資産税が数倍に増える可能性があります。
売却を迷っている間に、税負担が急に重くなる点は注意が必要です。
倒壊・害虫・近隣トラブルのリスク
劣化が進むと、屋根材や外壁が落下する危険があり、近隣への影響も大きくなります。
雑草や害虫も増えやすく、外観の荒れが近隣トラブルにつながる点も無視できません。
「少しの放置」が、気付かないうちに大きな問題へ変わっていきます。
行政からの指導・勧告・命令に発展する可能性
状態が悪化すると、自治体から助言や指導が入り、改善を求められることがあります。
さらに進むと、勧告や命令につながり、場合によっては行政代執行(強制的な解体)が行われます。
その際の解体費用は所有者負担となり、数十万~数百万円の請求になる場合もあります。
原因が特定できたら、次は“どの方法で手放すか”を考える

ここまでで、空き家が売れない理由はおおよそ整理できたはずです。
「立地の問題なのか」「建物なのか」「権利関係なのか」など、どこに壁があるかも見えてきたと思います。
次のステップは、その現状に合った手放し方を選び、具体的な行動に落とし込んでいく段階です。
売却・買取・更地・空き家バンク・国庫帰属制度など、空き家の出口にはいくつかの選択肢があります。
それぞれの特徴や向き不向きを比べながら、「最短で負担を減らせるルート」はどれかを一緒に整理していきましょう。



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