「成年後見人がついている親の不動産を売却したいが、どう進めればいいのか分からない…」
そんな悩みを抱える方は少なくありません。
親が認知症などで判断能力を失った場合、勝手に売却はできず、後見制度に基づいた正式な手続きが必要になります。
本記事では、不動産売却までの流れや注意点を、30年以上不動産に関わってきた私の経験も踏まえて、初心者の方でも理解しやすいように丁寧に解説していきます。
この記事を読むとわかること
- 成年後見制度と不動産売却の関係と基礎知識
- 家庭裁判所の許可申立てから売却までの流れ
- 家族間の調整や書類準備など注意すべき実務ポイント
成年後見制度とは?まず知っておきたい基礎知識
不動産売却の前に、成年後見制度の仕組みを正しく理解しておくことが大切ですよ。
制度を知らないと、売却の準備段階で大きなトラブルになることもありますからね。
ここでは、後見制度の役割と種類、そして不動産売却にどう関わってくるのかを解説します。
成年後見制度の目的と仕組み
判断能力が低下した方を守るために、家庭裁判所が選任する後見人が、法律行為を代理・補助する制度ですね。
後見人は、財産の管理や契約など、日常生活に関わる法的な行為を代行します。
不動産の売却など高額な取引では、特に慎重な判断が必要とされますよ。
そのため、家庭裁判所の許可がないと進められないのです。
これが成年後見制度が不動産売却に深く関係する理由ですね。
後見人の種類と役割の違い
後見制度には、成年後見・保佐・補助の3つのタイプがありますよ。
売却に必要なのは主に「成年後見」です。
この場合、後見人は本人(被後見人)の利益を最優先にして行動する義務があります。
つまり「家族の都合で売る」という判断はできないという点に注意ですね。
裁判所が本人のためになるかを厳しく判断する背景も理解しておきましょう。
不動産売却の基本的な流れ|成年後見人がいる場合
では、実際に後見人を立てた状態でどのように売却を進めるか、具体的な流れをご紹介しますね。
一般的な不動産売却と比べて手間や時間がかかりますが、ポイントを押さえればスムーズですよ。
ここでは手続きの全体像と、それぞれのステップで何をすべきかを解説します。
1. 家庭裁判所への許可申立て
最初のステップは、売却の必要性を裁判所に認めてもらうことですね。
売却理由や価格、買主などを明記した書類を提出します。
場合によっては不動産会社の査定書も求められますよ。
審査には1〜2ヶ月かかることもあるため、早めの準備が重要です。
許可が出るまで売買契約は締結できませんので注意してください。
2. 許可取得後に売買契約の締結
家庭裁判所の許可が下りたら、売買契約の締結が可能になります。
このときも、後見人が売主として署名・捺印します。
契約内容は慎重に確認し、本人に不利益がないようにしましょう。
司法書士など専門家に確認してもらうのも安心ですよ。
契約後のトラブルを防ぐためにも、丁寧な手続きを心がけましょう。
3. 決済と引き渡し
決済(残代金の受領)と引き渡しも、後見人が代理で行います。
必要書類や鍵の準備などは、通常の不動産売却と同様ですね。
ただし、振込先など金銭管理については、後見人の口座や裁判所の報告義務に関わります。
この点を不動産会社や司法書士と共有しておくことが大切です。
引き渡し後も、財産目録などの報告が必要になる場合がありますよ。
成年後見人による不動産売却の注意点
通常の売却とは異なる点が多いため、注意点を事前に知っておくことが重要です。
特にトラブルになりやすいのが「家族の意見の不一致」や「裁判所の不許可」ですね。
ここでは後悔しないために知っておきたいポイントをまとめました。
家族間の意見の相違
親族の中には「売らないで欲しい」と反対する方がいることもありますね。
しかし、最終的な判断は後見人と裁判所が行います。
事前に家族内でよく話し合っておくことが望ましいですね。
トラブルが大きくなると、売却自体が遅れる可能性もあります。
家族間での調整は非常に重要です。
売却価格が適正でないと不許可に
売却価格が市場相場より著しく安い場合、本人の不利益と見なされて不許可になることがあります。
信頼できる複数の不動産会社に査定依頼を出し、適正価格を見極めましょう。
安易に知人に売却するなどの行為は避けるべきです。
透明性の高い売却プロセスが求められます。
裁判所の信頼を得ることが何より大切ですね。
申立てや報告の書類準備が煩雑
必要な書類が多く、準備に時間と労力がかかる点も忘れてはいけません。
自力で進めるのが不安な方は、司法書士や弁護士のサポートを活用すると安心です。
また、報告義務や資産管理も長期にわたるため、後見人には責任が伴います。
信頼できる人を選任し、第三者後見人を検討するのも一つの選択肢ですよ。
時間的・精神的負担を軽くする工夫が必要です。
まとめ|信頼できる専門家の力を借りて、安心の売却を
成年後見人が関与する不動産売却には、通常の売却と比べて多くの手続きや注意点があります。
焦らず、ひとつずつ段階を踏んで進めることが成功のカギですね。
とくに初めての方は、信頼できる不動産会社や専門家に相談しながら進めるのがおすすめですよ。
この記事が、あなたの不動産売却の一助となれば幸いです。
お困りのことがあれば、いつでもご相談くださいね。
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