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空き家の固定資産税が負担なときの対処法|売却・保有の判断

空き家の固定資産税は高くなる? 新着記事

誰も住んでいない空き家でも、所有している限り固定資産税はかかります。

使っていない家の納税通知書が毎年届けば、「このまま持ち続けていてよいのだろうか」と負担を感じる方もいると思います。

ただし、空き家になったからといって、すぐに固定資産税が大きく上がるわけではありません。

最初に見てほしいのは、現在の土地と建物の税額、そして住宅用地特例が適用されているかどうかです。

空き家は、管理状態や解体する時期によって土地の税負担が変わることがあります。

だからといって、固定資産税だけを理由に急いで解体したり、売却したりする必要はありません。

今後も持つのか、活用できるのか、それとも売却するのか。

税金だけでなく、管理費や修繕費まで含めた今後の負担を比べて判断します。

空き家でも固定資産税はかかる|まず納税通知書を確認する

固定資産税は、実際にその家へ住んでいるかどうかだけで決まる税金ではありません。

土地や建物を所有していれば、誰も住んでいない空き家であっても課税されるのが基本です。

まず手元の納税通知書を見て、土地と建物にそれぞれいくら課税されているのかを確認してみてください。

空き家になっただけでは固定資産税はなくならない

家に住まなくなっても、土地と建物の所有権がなくなるわけではありません。

そのため、誰も住んでいない空き家になっても、固定資産税は原則としてかかり続けます。

また、市街化区域にある土地や建物では、固定資産税に加えて都市計画税が課税される場合もあります。

「誰も住んでいないのだから税金もかからない」という扱いにはなりません。

固定資産税は毎年1月1日の所有者に課税される

固定資産税を考えるときに知っておきたいのが、毎年1月1日という基準日です。

この日を「賦課期日」といいます。

原則として、1月1日時点で土地や建物を所有している人が、その年度の固定資産税の納税義務者になります。

そのため、年の途中で不動産を売却したとしても、自治体に対するその年度の納税義務者が途中で買主へ変わるわけではありません。

年の途中で売却する場合の固定資産税の負担については、後ほど説明する売買契約上の精算とは分けて考える必要があります。

土地分と建物分を分けて確認する

納税通知書を見るときは、合計額だけを見るのではなく、土地と建物にそれぞれいくら課税されているのかを分けて見てください。

空き家の固定資産税を考えるうえで、この土地分と建物分の区別はとても重要です。

住宅用地特例が関係するのは主に土地部分ですが、建物にも固定資産税は課税されています。

「固定資産税がいくらか」だけではなく、「土地にいくら、建物にいくら課税されているのか」まで確認してください。

空き家の土地には住宅用地特例が適用される場合がある

空き家の固定資産税は高くなる2?

住宅の敷地には、土地の固定資産税負担を軽くする「住宅用地に対する課税標準の特例」があります。

空き家になったからといって、直ちにこの特例がなくなるわけではありません。

空き家の固定資産税を考えるときに「家を壊したら税金が上がる」といわれるのは、この住宅用地特例が大きく関係しています。

200㎡までの小規模住宅用地は課税標準が1/6

住宅用地に適用される特例は、土地の面積によって扱いが異なります。

固定資産税では、住宅1戸につき200㎡までの小規模住宅用地について、課税標準が価格の1/6になります。

200㎡を超える一般住宅用地については1/3となり、都市計画税にも固定資産税とは別の特例率があります。

住宅が建っている土地の税負担が抑えられている大きな理由が、この住宅用地特例です。

※住宅用地として特例の対象となる面積には一定の要件があります。

区分 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準
小規模住宅用地
住宅1戸につき200㎡まで
価格×1/6 価格×1/3
一般住宅用地
200㎡を超える部分
価格×1/3 価格×2/3

※住宅用地として特例の対象となる面積には一定の要件があります。

「固定資産税が6倍」は必ず税額が6倍という意味ではない

空き家について調べると、「家を解体すると固定資産税が6倍になる」という説明を見かけることがあります。

これは、小規模住宅用地の固定資産税の課税標準が価格の1/6になることから出てくる表現です。

住宅用地特例が外れれば、この1/6という扱いはなくなります。

ただし、住宅用地特例が外れたからといって、実際に支払う固定資産税額が必ず6倍になるわけではありません。

土地には負担調整措置などがあり、もともとの課税状況によって実際の税額は変わります。

また、都市計画税の特例率も固定資産税とは異なります。

「6倍」という言葉だけを見て、解体する・しないを決めないことが大切です。

空き家の固定資産税負担が大きく変わる2つのケース

空き家の税負担を考えるときは、どのような場合に住宅用地特例が使えなくなる可能性があるのかを知っておく必要があります。

特に注意したいのが、建物を解体する場合と、管理不全空家や特定空家について行政から勧告を受ける場合です。

建物を解体して住宅用地ではなくなる

住宅用地特例は、その土地が住宅の敷地として使われていることを前提とした制度です。

1月1日時点で住宅がなく、住宅用地として扱われなくなれば、原則として住宅用地特例は使えなくなります。

そのため、建物を解体した翌年度から、土地の固定資産税負担が増える場合があります。

「古い家だから先に壊してしまおう」と決める前に、解体後の土地の税額まで確認してください。

管理不全空家・特定空家として勧告を受ける

管理状態が悪い空き家については、自治体が空家等対策特別措置法に基づいて対応する場合があります。

管理不全空家や特定空家と判断された後、指導を受けても改善されない場合には、勧告へ進むことがあります。

管理不全空家や特定空家について自治体から勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から除外されます。

空き家だから税負担が変わるのではなく、管理状態と行政対応がどこまで進んでいるかを見る必要があります。

管理不全空家になっただけで特例が外れるわけではない

空き家の固定資産税は高くなる3?

ここは、空き家の固定資産税について特に誤解されやすいところです。

「管理不全空家」という言葉だけを見て、すぐに固定資産税が大幅に上がると考える必要はありません。

税負担への影響を見るときは、自治体からどのような通知を受け、行政対応がどの段階まで進んでいるのかを確認します。

重要なのは「勧告」を受けたかどうか

管理不全空家について自治体から指導を受けても、その時点ですぐ住宅用地特例が外れるわけではありません。

指導を受けても状態が改善されない場合に、勧告へ進むことがあります。

住宅用地特例への影響を考えるうえで重要なのは、「管理不全空家と判断されたか」だけではなく、「勧告を受けたかどうか」です。

「管理不全空家になったら、その時点で固定資産税が即6倍になる」と考えないでください。

実際の指定状況や住宅用地特例の適用について分からない場合は、物件所在地の自治体へ確認するのが確実です。

行政から指導を受けている場合は制度の流れも確認する

管理不全空家と特定空家では、行政が行う対応やその後の流れも異なります。

自治体からすでに通知や指導を受けているのであれば、税金だけを見るのではなく、現在どの段階にあり、次に何を求められているのかまで確認してください。

制度の違いや勧告後の流れについては、管理不全空家・特定空家になった場合の対応とリスクでも詳しく整理しています。

管理状態を改善できれば、売却以外の選択肢を残せる場合もあります。

固定資産税を理由に空き家を先に解体しない

建物が古くなってくると、「売る前に解体した方がよいのではないか」と考えることがあります。

しかし、解体するかどうかは固定資産税だけで決めるものではありません。

先に建物を壊してしまうと土地の税負担が変わるだけでなく、物件によっては売り方まで狭めてしまうことがあります。

建物の税金がなくなっても土地の税負担は増える場合がある

建物を取り壊し、翌年1月1日時点で家屋がなければ、翌年度からその建物に対する固定資産税はかからなくなります。

ただし、建物がなくなったことで土地の住宅用地特例が使えなくなれば、土地側の税負担が増える場合があります。

建物分の固定資産税がなくなるからといって、土地と建物を合わせた全体の負担が必ず軽くなるとは限りません。

解体を決める前に、「現在の税額」と「解体後に想定される税額」を比べてください。

解体前に売却方法と土地利用を確認する

古い家だからといって、必ず更地にしなければ売れないわけではありません。

古家付き土地としてそのまま売れる物件もあれば、買主側が購入後に解体する条件で取引できる場合もあります。

反対に、土地の需要や建物の状態によっては、更地にした方が売りやすい物件もあります。

つまり、解体した方がよいかどうかは物件ごとに違います。

先に査定を取り、その物件では古家付きと更地のどちらが売りやすいのかを見てから、解体するか判断した方が安全です。

固定資産税の負担を減らすために確認する順番

空き家の固定資産税は高くなる4?

固定資産税の負担が重いと感じても、「税金を減らすにはどうすればよいか」だけで考えない方がよいでしょう。

今後その空き家を自分や家族が使うのか、賃貸などで活用できるのか、それとも売却した方がよいのかによって、選ぶ方法は変わります。

固定資産税だけでなく、管理費や修繕費まで含めた年間負担を見ながら整理していきます。

納税通知書で現在の税額を確認する

最初に、最新の固定資産税納税通知書を手元に用意してください。

土地と建物の税額を分けて見ながら、土地に住宅用地特例が適用されているかを確認します。

現在いくら負担しているのかが分からなければ、保有・解体・売却のどれを選ぶにしても正しい比較ができません。

課税内容が分かりにくい場合は、物件所在地の市区町村へ問い合わせれば確認できます。

今後使う予定があるなら保有費用を計算する

自分や家族が将来住む予定があるのであれば、すぐに売らず、空き家のまま保有しておく選択肢もあります。

ただし、保有にかかる費用は固定資産税だけではありません。

火災保険、建物の修繕、庭木や草の管理などを含めて、年間でいくらかかっているのかを見てください。

固定資産税だけなら負担できても、修繕費や管理費まで加えると予想以上の金額になることがあります。

今後使う予定が明確で、無理なく維持できるのであれば、保有すること自体が間違いというわけではありません。

不動産を所有し続ける場合の維持コストも合わせて確認できます。

活用できるなら収入と費用を比較する

空き家を賃貸などで活用できれば、家賃収入によって固定資産税や管理費の一部を補える場合があります。

ただし、貸せば必ず利益が出るわけではありません。入居者を募集するために修繕やリフォームが必要になれば、先にまとまった費用がかかることもあります。

大切なのは、「活用できるか」だけでなく、「費用をかけても収支が合うか」まで考えることです。

活用するためだけに先に大きなお金をかけず、需要と必要費用を見てから判断してください。

使う予定がなければ売却も含めて比較する

自分や家族が今後使う予定もなく、現実的な活用方法も見つからないのであれば、売却も一つの選択肢になります。

売却して所有権を引き渡せば、その後の固定資産税や管理、修繕といった保有負担から離れることができます。

ただし、「固定資産税が負担だから売った方がよい」と単純に決める必要はありません。

売却した場合にいくら残るのかと、この先持ち続けた場合にいくらかかるのかを比べて判断してください。

空き家を売却すると固定資産税はどうなるのか

空き家を売却する場合は、固定資産税の1月1日という基準日も知っておきたいところです。

固定資産税は、自治体が所有期間に応じて日割りで課税する税金ではありません。

その年度の納税義務者は、原則として1月1日時点の所有者です。

年途中に売却してもその年度の納税義務者は変わらない

例えば、1月1日時点では空き家を所有していて、その後2月に売却したとしても、その年度の納税通知書が売主へ届く場合があります。

固定資産税は、原則として1月1日時点の所有者がその年度の納税義務者になるためです。

翌年度については、翌年1月1日時点で誰が所有しているのかが基準になります。

「年の途中で売ったから、その日以降の固定資産税は自治体から買主へ請求される」という仕組みではありません。

実際の精算方法は売買契約で確認する

不動産売買の実務では、固定資産税について、売主と買主の間で引渡日などを基準に精算することがあります。

ただし、この精算は地方税法上の納税義務者が途中で変わるという意味ではありません。

あくまで売買契約上、売主と買主の間でその年の負担を調整するものです。

固定資産税をどの日から分けるのか、どのように精算するのかは売買契約書で確認してください。

空き家を保有するか売却するかの判断基準

空き家の固定資産税は高くなる5?

固定資産税の金額だけを見ても、空き家を今後どうするべきかという答えは出ません。

今後その家を使う予定があるのか、年間でどのくらいの費用がかかっているのか、活用できる可能性があるのかまで含めて考える必要があります。

保有を続けるか売却するか迷っている場合は、次の項目を一度整理してみてください。

確認項目 保有を検討しやすい状態 売却を検討しやすい状態
今後の利用予定 自分や家族が使う予定がある 使う予定がない
年間の負担 税金・管理費を無理なく負担できる 毎年の負担が重い
建物状態 大きな修繕をせず維持できる 修繕や管理費が増えている
活用可能性 賃貸など現実的な用途がある 活用の見込みが低い
売却可能性 急いで手放す必要がない 現況でも売却できる可能性がある

私は、空き家については「固定資産税が高いか」だけで考えるより、「この先も持っている理由があるか」を一度考えた方がよいと思います。

空き家全体の対処方法については、空き家を管理・活用・売却する判断方法でも詳しく整理しています。

空き家の固定資産税に関するFAQ

空き家の固定資産税については、住宅用地特例や解体後の税額など、言葉だけを見ると誤解しやすい部分があります。

実際の税額は土地の評価や自治体での課税状況によって異なるため、最後は個別に確認することも必要です。

できれば納税通知書や課税明細書を手元に置きながら確認してください。

Q: 空き家になったら固定資産税はすぐ6倍になりますか?

A: 空き家になっただけで、固定資産税がすぐ6倍になるわけではありません。

住宅用地特例が適用されているか、土地にどのような負担調整が行われているかによって実際の税額は異なります。

「6倍」という言葉だけを見るのではなく、まず現在の課税明細を確認してください。

Q: 管理不全空家として指導を受けたら、固定資産税はすぐ上がりますか?

A: 指導を受けただけで、住宅用地特例がすぐ外れるわけではありません。

指導を受けても改善されず、自治体から勧告を受けた場合は、その敷地が住宅用地特例の対象から除外されます。

自治体から通知が届いている場合は、「管理不全空家になったか」だけでなく、現在どの段階まで進んでいるのかを確認してください。

Q: 空き家を解体すれば固定資産税は安くなりますか?

A: 解体したからといって、固定資産税の負担が必ず安くなるとは限りません。

建物を取り壊せば建物分の固定資産税はなくなりますが、一方で土地の住宅用地特例が使えなくなる場合があります。

解体前と解体後で、土地と建物を合わせた税負担がどう変わるのかを確認してから判断してください。

Q: 固定資産税を払いたくないので年内に売った方がよいですか?

A: 固定資産税だけを理由に、売却時期を急いで決める必要はありません。

1月1日時点の所有者が翌年度の納税義務者になる点は知っておきたいところですが、不動産は税金だけで売却時期を決めるものではありません。

売却価格や引渡し条件、今後の管理費なども含めて比較してください。

Q: 固定資産税が高いと感じたらどこに確認すればよいですか?

A: まず物件所在地の市区町村にある固定資産税の担当窓口へ確認してください。

その際は、納税通知書と課税明細書を手元に用意しておくと、土地・建物の課税内容について話がしやすくなります。

住宅用地特例が現在適用されているか分からない場合も、あわせて確認してみてください。

まとめ|固定資産税だけでなく今後の保有負担で判断する

空き家でも、所有している限り固定資産税はかかり続けます。

一方で、誰も住まなくなったからといって、その時点ですぐ住宅用地特例がなくなるわけではありません。

まず納税通知書を見て、現在の土地と建物の税額、住宅用地特例の適用状況を確認してください。

解体を考えているのであれば、建物を壊した後に土地の税負担がどう変わるのかを見てからでも遅くありません。

また、今後使う予定がない空き家では、固定資産税だけでなく、管理費、修繕費、保険などの負担も続いていきます。

私は、固定資産税だけを見て空き家の処分方法を決めるのではなく、保有・活用・売却を比べたうえで、今後どれだけの負担が続くのかを見ることが大切だと考えています。

空き家全体を今後どうするか迷っている場合は、空き家の管理・活用・売却を整理した総合記事から確認できます。