家を売り出しても問い合わせや内覧が増えないと、「このまま同じ不動産会社へ任せていてよいのか」「会社を変えた方が売れるのではないか」と考えることがあります。
ただ、家が売れない原因が不動産会社にあるとは限りません。
売出価格が相場より高い場合や、道路、建物の状態など、買主が気にする条件が物件そのものにある場合は、不動産会社を変えても同じ理由で売却が止まることがあります。
会社を変える前に見たいのは、今の不動産会社がどのような販売活動を行い、その結果、買主からどのような反応があったのかです。
問い合わせが少ない原因が広告なのか、価格なのか、それとも物件そのものなのかが分かれば、不動産会社を変えるべきなのか、別のところを直すべきなのかも見えてきます。
家が売れない原因全体から見直したい場合は、売れない家の原因と売却方法から確認できます。
家が売れないだけで不動産会社を変える必要はない
売却を始めてから時間が経ったという理由だけで、不動産会社を変える必要はありません。
たとえば、現在の価格が相場より高ければ、別の会社へ変更しても同じ価格で売り続ける限り、買主の反応が大きく変わらないことがあります。
一方で、価格や物件条件に大きな問題がないのに、
- 広告が十分に出ていない、
- 買主側の不動産会社へ情報が届いていない、
- 問い合わせや内覧後の反応が売主へ伝えられていない
このような事象が感じられた場合には、販売を任せている会社を見直すのも一つの方法です。
「家そのもの」「価格」「販売活動」のどこで売却が止まっているのかを見ないまま会社を変えると、同じ問題を次の会社でも繰り返すことがあります。
会社を変える前に販売活動を3つに分けて見る

担当者へ「販売活動を頑張っていますか」と聞いても、実際に何をしているのかまでは分かりません。
見たいのは、どこへ広告を出したのか、問い合わせや内覧が何件あり、その買主がどこで購入を見送ったのかという具体的な内容です。
会社を変えるか迷ったときは、広告、買主の反応、会社からの説明という3つに分けると、今の販売活動が十分なのか判断しやすくなります。
どこへ広告を出しているか
最初に、自分の物件がどこで販売されているのかを見ます。
不動産ポータルサイト、自社サイト、レインズなど、媒介契約を結んだときに説明を受けた販売方法が、実際に行われているかを見るためです。
広告そのものは掲載されていても、写真が少なかったり、間取りや物件の特徴が十分に伝わっていなかったり、売出当初の古い情報がそのままになっていることもあります。
掲載されているだけで「販売活動をしている」と考えず、買主から見て物件の良さや注意点が分かる内容になっているかまで見ておきたいところです。
内容に不足があるなら、会社を変える前に写真や説明文を直せないか相談するだけで反応が変わることもあります。
問い合わせ・内覧の内容を報告しているか
問い合わせが何件あったかという数字だけでは、家が売れない理由までは分かりません。
「価格が高い」「道路が狭い」「建物の修繕費が気になる」など、買主が何を理由に購入を見送ったのかまで聞くことが大切です。
内覧後の反応も同じで、何が気になって候補から外れたのかが分かれば、価格を見直すのか、広告で説明を補うのか、売り方そのものを変えるのかを考えられます。
反響が少ないことだけでなく、その反響の中身を不動産会社が把握し、売主へ説明できているかを見ます。
売れない理由と次の対策を説明しているか
販売を任せている以上、不動産会社には「売れませんね」「もう少し待ちましょう」と言うだけではなく、なぜ売れていないのかを説明してもらいたいところです。
値下げを提案するのであれば、周辺の成約事例や現在売り出されている競合物件、これまでの問い合わせや内覧結果を基に、なぜその価格まで下げる必要があるのかを聞きます。
数字や買主の反応を示さず、「待ちましょう」「値下げしましょう」という説明だけが続く場合は、その会社へ任せ続けるかを考え直してもよいでしょう。
専任・専属専任ならレインズと業務報告を確認する

専任媒介や専属専任媒介では、ほかの不動産会社へ重ねて媒介を依頼することはできません。
また、レインズへの登録や売主への業務報告について一定のルールがあります。
ここでは媒介契約そのものを詳しく比較するのではなく、現在の会社が約束どおり販売活動を行っているのかを見る材料として使います。
登録証明書からレインズの取引状況を見る
専任媒介と専属専任媒介では、不動産会社が物件をレインズへ登録した後、売主へ登録証明書を渡します。
専任媒介は媒介契約を結んだ日の翌日から7日以内、専属専任媒介は5日以内にレインズへ登録し、いずれも宅建業者の休業日は日数に含まれません。
登録証明書には売主専用画面へ入るための情報が記載されており、スマートフォンなどから物件情報や取引状況を見ることができます。
取引状況には「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」などが表示されます。
売主自身は販売を止めた覚えがないのに「売主都合で一時紹介停止中」となっているなど、実際の状況と違う場合は、そのままにせず担当者へ理由を聞きます。
定期報告では件数だけでなく内容を聞く
専任媒介では少なくとも2週間に1回、専属専任媒介では少なくとも1週間に1回、不動産会社から業務処理状況の報告を受けます。
ただ、「広告掲載中」「問い合わせ2件」といった報告だけでは、次に何をすればよいのか分かりません。
どこへ広告を出したのか、問い合わせをした人は何を気にしていたのか、今後どのような販売活動を行う予定なのかまで聞けば、現在の売却状況がかなり分かります。
購入申込みがあった場合は、媒介契約の種類にかかわらず、その内容を売主へ遅滞なく報告する義務があります。
不動産会社の変更を考えたいケース
担当者への不満が一つあるだけで、すぐ不動産会社を変える必要はありません。
しかし、販売活動に問題があり、改善を求めても広告や報告内容が変わらないのであれば、契約満了を機に別の会社へ相談することは十分考えられます。
| 現在の状況 | 変更を考える前に見ること |
| 定期報告がほとんどない | 媒介契約の種類と報告頻度を見る |
| 広告内容が長期間変わらない | 掲載媒体、写真、説明文を見直せないか相談する |
| 問い合わせ理由を説明できない | 買主からどのような反応があったか聞く |
| 値下げだけを繰り返し提案される | 値下げの根拠となる成約事例や競合物件を見る |
| レインズの取引状況に疑問がある | 売主専用画面と実際の販売状況を比べる |
| 改善を頼んでも対応が変わらない | 契約満了日と次に相談する会社を調べる |
特に、専任や専属専任で任せているのに、レインズへの登録や定期報告が約束どおり行われていないのであれば、その理由は聞いておいた方がよいでしょう。
また、ほかの不動産会社から購入希望者を紹介できる状態なのに、売主の意向に反して紹介を妨げている疑いがある場合も、具体的な状況を会社へ聞く必要があります。
「両手仲介だから問題」と決めつけるのではなく、ほかの不動産会社からの問い合わせや買主紹介に適切に対応しているかを見ることが大切です。
会社変更より先に価格や物件条件を直すケース
不動産会社が十分に販売活動を行っていても、売出価格が相場より高ければ、会社を変えただけでは売れないことがあります。
同じように、再建築の問題、前面道路、建物の状態など、買主が購入をためらう条件が物件そのものにあれば、新しい会社へ変更しても説明しなければならない点は残ります。
問い合わせや内覧は入っているものの、複数の買主から同じ理由で見送られているなら、その理由を会社変更より先に考えた方がよい場合があります。
不動産会社を変えれば解決する問題なのか、会社を変えても残る問題なのかを分けてから動きます。
価格以外も含めて家が売れない理由を見直したい場合は、売れない家の原因と対策で全体を確認できます。
媒介契約の満了時に変更する方法
専任媒介と専属専任媒介の有効期間は、法律上3か月以内です。
契約期間が終わるときに更新しなければ、その契約は終了し、別の不動産会社へ切り替えることができます。
更新には売主からの申出が必要で、最初から自動的に更新する契約にはできません。
現在の会社に大きな契約違反がなく、急いで変更する必要もなければ、契約満了まで待って更新せず、その時点で別の会社へ切り替える方が分かりやすいでしょう。
変更を考えている場合は、現在の契約が終わる前に次の会社へ相談し、査定や販売方法について説明を聞いておくことはできます。
ただし、専任・専属専任の契約期間中に、別の会社と重複して専任媒介契約を結ばないよう、現在の契約終了日は確認しておきます。
契約期間中に変更するときは解除条件と費用を確認する

契約期間中であっても、不動産会社が契約上の義務を果たさない場合などには、解除できるケースがあります。
一方で、「担当者が合わない」「思ったより早く売れない」といった理由だけで途中解除するのであれば、先に媒介契約書を読んでおいた方が安全です。
国土交通省の標準媒介契約約款では、会社側の義務不履行について相当期間を定めて履行を求め、それでも履行されない場合などに解除できる規定があります。
反対に、会社側に責任のない事情によって契約期間中に解除された場合は、契約履行のために要した費用の償還を請求できる場合があります。
実際に費用が発生するか、どこまで請求されるかは契約内容によって違うため、一般論だけで判断せず現在の媒介契約書を見ます。
契約途中で会社を変えるなら、先に解除条項と費用負担を読み、契約がいつ終了したのかを書面やメールで残しておく方が安心です。
次の不動産会社は査定額ではなく販売方法を聞いて選ぶ

会社を変えるとき、前の会社より高い査定額を提示した会社へそのまま任せると、同じことを繰り返す可能性があります。
査定額が高くても、その金額で買う人がいなければ売却は進みません。
次の会社には、「なぜこの価格なのか」「どのような買主を想定しているのか」「どこへ広告を出すのか」「反響がなかった場合は次に何をするのか」まで聞いておきます。
地域の成約事例や競合物件を見せながら説明できる会社であれば、その査定額にも理由があります。
査定額の高さではなく、その価格で誰に、どのように売るのかまで説明できる会社を比べます。
不動産会社を選ぶときの基本的な見方については、不動産屋を選ぶときのチェックポイントも参考になります。
不動産会社変更についてよくある質問
不動産会社を変えるときは、契約途中でも変更できるのか、費用がかかるのか、レインズを自分で見られるのかなど、分かりにくい点があります。
会社を変更する前に知っておきたい内容をまとめます。
Q: 専任媒介で売れなければ3か月で会社を変えた方がよいですか?
A: 3か月売れなかったという理由だけで変更する必要はありません。
問い合わせや内覧がどの程度あったのか、どのような広告を出したのか、価格は相場と合っているのか、会社からどのような報告を受けてきたのかを見れば、売れない原因が会社にあるのか、それ以外にあるのかを考えやすくなります。
販売活動に問題があり、改善を依頼しても変わらないのであれば、契約満了時は会社を見直す一つの時期になります。
Q: 媒介契約の途中でも不動産会社を変更できますか?
A: 契約上の義務が履行されない場合など、契約期間中でも解除できるケースがあります。
ただし、売主側の都合で途中解除する場合は費用負担が生じることもあるため、先に現在の媒介契約書を読んでおきます。
Q: 契約満了なら違約金なしで会社を変えられますか?
A: 専任・専属専任媒介は、契約期間が満了し、更新しなければ終了します。
ただし、特別に依頼した広告費など未精算の費用や、すでに購入申込みなど具体的な取引が進んでいないかは、終了前に見ておいた方がよいでしょう。
Q: 自分の物件がレインズに登録されているか確認できますか?
A: 専任媒介・専属専任媒介であれば、不動産会社から交付される登録証明書を使い、売主専用画面から登録内容を見ることができます。
取引状況も表示されるため、自分が聞いている販売状況と一致しているかを見ることができます。
Q: レインズに登録されていれば囲い込みはありませんか?
A: レインズに登録されているというだけで、販売活動のすべてが適切だとは判断できません。
取引状況が実際と合っているか、ほかの不動産会社から購入希望者を紹介されたときに対応しているかなど、実際の販売状況もあわせて見ます。
Q: 担当者だけ変えてもらう方法でもよいですか?
A: 会社の販売方針や広告方法には問題がなく、担当者との連絡や説明だけに不満があるなら、社内で担当者を変えてもらう方法もあります。
会社そのものを変更しなくても解決できる問題であれば、売却活動を止めずに続けられます。
まとめ|会社を変える前に今の販売活動を一度数字で見る
家が売れないからといって、不動産会社を変えれば必ず売れるわけではありません。
まず、どこへ広告を出しているのか、問い合わせや内覧が何件あり、買主が何を理由に見送ったのか、そして不動産会社からどのような報告を受けているのかを見ます。
専任媒介や専属専任媒介であれば、レインズの登録内容や取引状況も売主自身で見ることができます。
会社側の販売活動に問題があるのか、それとも価格や物件条件を直すべきなのかを分けたうえで、不動産会社を変えるかどうかを決めます。
変更する場合は、現在の媒介契約の満了日、途中解除の条件、費用負担を先に読んでおきます。
そのうえで次の会社を選ぶときは、査定額だけを見るのではなく、「この価格で、誰に、どのように売るのか」まで聞いてください。
前の会社で何が足りなかったのかが分かっていれば、次の会社を選ぶときにも同じ失敗を繰り返しにくくなります。
